コクピ班の苦悩

 あれはうだるように暑い日だった。時刻は午前10時。他の部員達が蟻のように足場を組み立てている中、私は瀧澤とともにコックピットを運んでいた。重心試験。それはある種の戦いだ。コックピットの重みがズシリと伝わってくる。コックピットはこれから足場の上にあるレイゾンに結び付けなければならない。今からこれを持ち上げなければならないと思うと憂鬱だ。足場の上から声がかかる。さあ、勝負のときだ。瀧澤と息を合わせてコックピットを持ち上げた。あと私ができることは、足場の上の仲間たちが去年の知識を総動員し、レイゾンに固定していくのをただ見ていることだけだった。
 重心試験が始まった。コックピットが揺れないよう、緊張で震えている手をそっと離す。コックピットはゆっくりと回転を始めた。大変だ。私は急いで保持に入る。幾度もの調整を行い、重心が確定した。これで終わりだと喜ぶ反面、この時が来てしまったという思いが押し寄せる。先日瀧澤に頼まれていたモックアップの材料を買いにかなければならないのだ。私は運転を頼まれている。免許を取ってからの日が浅い私には荷の重い仕事である。
 ホームセンターに到着した。私たちは材料の木を見つけた。あとは運ぶだけだ。そう思い、サービスセンターにトラックを借りに行った。しかし、買ったものが少なすぎたためか、貸してもらえなかった。ここから大学まで2キロほどある。外の気温は33度。快晴である。この中を歩いていくのは正気の沙汰ではない。私たちは再度頼んでみたが、現実は無情だった。仕方なく私たちは大学へと歩みを進めた。
 ジリジリと照りつける太陽がゆっくりと、しかし着実に体力を奪っていく。2m近い木材を持っている私達にはコンビニで休憩するということもできない。熱せられた生ぬるい風が頬を撫でる。あと少し、大学は見えている。そう思えば思うほど大学は余計に遠くに感じる。水がほしい。ポツリポツリと立っている街路樹のつくる木陰が、我々の唯一の救いだった。
 ついた。我々はあの地獄からついに生還を果たしたのだった。とりあえず水がほしいと思い、駆け足で購買に向かった。だが、我々にはさらなる試練が待ち構えていた。購買の冷蔵庫が故障した。飲み物は冷えてない。ホットならしっかりと温めてある。張り紙にはそう書かれていた。我々は絶望した。こうして我々はトボトボと水飲み場に向かっていった。

文責 山田
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